八女郡広川町の「かすり祭」へ。この祭りを立ち上げた方とこれからとある仕事を一緒にすることになり、その打ち合わせも兼ねて。この方には、会う度刺激をもらっている。

久留米絣(くるめがすり)ってのはその字面から久留米市を中心に生産されていると思われがちだけど、実は違う。久留米市に問屋が集中しているだけであって、反物の生産の中心地は、広川町とその周辺である。15年前に始まった「かすり祭」はある意味において、問屋の下請けとして小さくなっていた生産者に光を当てたものだと言える。生産者に直売の機会を与えることで、問屋の下請けとしての存在から抜け出すきっかけを創りだした。現在では、事務机2脚分を1ブースとして各工房(生産者)に2日間貸し出し、販売をさせている。聞いてびっくり。とにかく売り上げがすごい。15年経った今では、各工房で新しい表現が多々見られるようになったそうだ。

「かすり祭」に見るもう1つの特徴は、反物の素材である「糸」のまとまった市場を新たに作り出したこと。上の写真の右が反物を作る際に使われる糸。その糸を染める際にくくっている糸が左の「くくり糸」である。これらの糸をとある流通網にのっけて販売している。素材である糸の販売にて得た収益で、主役である反物(= 伝統工芸品)を守る仕組みが提案されたのだ。
素材に目を向ける視点は、おそらくこれからの時代特に有用な視点で。学ぶ点が多くあったと同時に、でっかいスケールのプロジェクトの中でtriviaっぽさをどう出していこうかと改めて考えさせられた次第。