玄界島プロジェクト

September 30, 2005

Posted by: takita


今年の3月に起きた福岡西方沖地震。その際多大な被害を受けた玄界島に行ってきた。現在でも本土側の外周道路までしか入れない状態で、一度更地にして開発するとのこと。確かに島内部の斜面に張り付いた宅地の被害は大きなもので、近づくにも危険な状態だった。

ぼくがここに来たのはとあるプロジェクトのため。福岡のNPO「アートサポートふくおか」が進めるプロジェクトで、被災した人たちをアートを介して元気づけようという主旨のもの。全校生徒30人くらいの玄界小の学習発表会を、プロのアーティストが指導し、今までにない学習発表会を作っていこうとしている。

当初は被災した子供たちを元気づけようという主旨だったが次第に大人たちも含めた支援にシフトしていった。というのも、慣れない環境に順応しやすい子供たちに比べて大人・高齢者の方たちの心労が大きいということに気付いてきたからだという。

現在玄界小は、福岡市内の簀子小学校に間借りしている。なので学校に通う小中生を持つ家族は、本土の仮設住宅に住まなくてはいけない。一方で漁業で生計を立てている家庭がほとんどなので、お父さんは島の仮設住宅に住んでいる、というケースが多いらしい。そんな状況の中で学習発表会が家族や友人たちが集う機会になればいい。震災で対応に追われてきた先生たちにとって、そして離ればなれになってしまった家族にとって、本プロジェクトが果たす役割は大きいように思う。

プロジェクトメンバーは、9名ほど。シンガーソングライター、声楽家、演出家、振り付け師などプロの人たちで構成されている。合唱、演劇、朗読劇、ミュージカル… バラエティに富んだ学習発表会になりそうだ。その中でぼくは、終わった後に配布される記録冊子のディレクション・デザインをすることになっている。現段階でのイメージは、もらってうれしい「想い出アルバム」。大好きな家族の風景が、そこから垣間見えればいいなと考えている。



今回は特別に地元の方に案内してもらい、島中心部まで入ることができた。んで、その案内してくださった方の家(仮設住宅)にまでおじゃますることに。



ほたて、あわび、いか、くじら…。次から次に出てくる料理。。仕事そっちのけ?でもてなしてくださった。おみやげまで頂いて。ありがたい。。



本土に戻って、簀子小学校と近くの仮設住宅へ。こどもたちの様子を見せてもらう。校舎には全国から送られてきた応援メッセージが見受けられた。その中に小国町の万成小学校のものも。大切に掲示されてありました。ご報告。

さよならから

September 29, 2005

Posted by: takita


残念なお知らせがあります。たしろやが休業となりました。ようやくウェブを介してお客さんが来だしたという矢先の突然の出来事です。来てくださった方は喜んでくれて。それは同時に杖立の喜びでもあったわけですが、いろいろと事情はあります。現状のアクションとしてのオープンは、大きな勇気と器量を要求したことであったと。そういうことだとこの事実を受け止めて、がんばった皆さんにはありがとうとお疲れ様を言いたいです。というか、心からそう言えます。尊敬してます。

でもいいお知らせもあります。幻の名店(とぼくがここで書くとジュンコさんがつっこまれるみたいですが)「喫茶ジュン」がリニューアルオープンしました:写真。これも勇気が必要だったでしょう。いや、ノリかもしれません。うそ。笑 非常に楽しみです。ラボに来てくださった方は連れていくので楽しみにしといてください。



あと1つうれしいお知らせ。さくら荘の住人が1人増えます。某温泉街でいろいろと活動していた版画家・イラストレーターの女性の方が10月に引越してきます。隣りのクスオおじいちゃんがいた部屋です。杖立が前に進んでいる気がすると、越してきてくれることになりました。とてもうれしいことです。

んでも女性が住むにはさすがに…というのもあってD社が清掃に来たんですが、そこで新しい発見がありました。なんとさくら荘は元々旅館だったんじゃないかということです。管理人さんも(あまりに昔のことなんで)知らないということらしいですが、「ぼたんの間」という表札が押し入れの奥の奥にありました。奥深いです。さくら荘。彼女にはたまにラボを工房代わりに使ってもらうかもしれません。ぼくが行ったり来たりで閉めることが多いので。「開いてないじゃん!」てキレていた方には朗報です。

どうですか?ほかに杖立に移住したい方はいませんか?お店を開きたいとか。協力しますよ。住むのは宮原でもいいかもしれません。1人暮らしに最適なアパートができつつあります。小国ライフは快適ですよ。small is beautiful, it's the slow life.

M: サヨナラColor/S.B.D.

出会いはいつから危険になったのか

September 27, 2005

Posted by: takita


午後から駒沢大学の学生4名が訪ねてきました。ラボのことや杖立の観光のことが講義の課題になっているそうで。九州にかかわらず最近はこんな感じで学生さんたちが訪ねてきてくれます。来週には京都大学から。うれしいことです。わざわざ来てくださるんで何か得るものがあればいいですが。ぼくもがんばらないと。

その後、某高校へ。総合学習のやつです。情報処理部の生徒から今の子たちがどれくらい知識を持っているのかを把握して、パソコンがどんなもんか確認するためです。行ってみてびっくり。新品のPC40台がズラッと並んでいました。ネットに繋いでみてさらにびっくり。ほとんどのブログが見れないのです。jugemも。エキサイトブログも。その他もろもろ。つまりブロックがかけられているのです。ブロックをかけている理由が表示されるんですが、それは一言「掲示板」と。おいおい。ここのよに独自に構築しているものは見れるのでつまりはドメインを指定しているのでしょう。学校側がブロックかけているわけじゃないので余計厄介です。さらにmixiも見れません。こちらの理由も「掲示板」だから。SNSの雄?orkutはどうかと見てみたらこちらもダメ(久しぶりに覗いてみたら日本語が表示されてる。。)。理由は「出会い」と表示。まぁ確かに当初は「googleが出会い系サイトを作った!」なんてニュースが流れたんで分からんでもないですが。。んじゃぁごろっとやっちろ(全国で初めてSNSを地域スケールで取り入れたもの)はどうかと言えば見れます。授業で体験してもらおうと思ってただけに残念ですが、そんなことよりどうなんでしょうこんなんは。必要なんは情報インフラじゃなくて情報思想インフラなのかもしれません。これらのインフラの基でいったい「何」が学習できるのか、疑問を少々。

夜はPホールへ。財政が厳しくなる中運営をどうにかしようとチームを作り、話しあいを進めています。今日は2回目ってことでワークショップ形式でみなさんの意見をあげてもらいました。自分の中では「こうしたらいい」というのがあるんですが、こういう営みの中ではそれはさして重要ではないのです。さして重要ではないというのはそういう「アウトプットの内容」はある程度の水準であればどれでもいいのです。(と言ってしまってもいいのです。)一番重要なのは、そのアウトプットを「どう実現するのか」ということ。今回もそれで頭を悩ませています。大学の中でも「デザインは何がいいか」というアウトプットの質を問うた授業はよくありますが「デザインを実現するための(及び選択する時の)ノウハウ」を訓練する授業は少ないように思います。今必要とされる発想はそういうとこだと最近特に考えます。プロがどんなに正解だと主張しても、生活者が正解と認めない限り正解になり得ないのが日常のリアルです。プロでさえいろんな人がいるのがリアルです。ぼくが生まれる前からこんなに「正解がいくつもある」世の中だったんでしょうか。なんてことを疲れ切った時は考えてこんでしまいます。

んーと写真は一昨日の結婚式で撮ったもの。おめでとう。